PCR検査と抗原検査キットの違いと使い分け方法

何度も変異を繰り返し、なかなか収束の気配を見せない新型コロナウイルス。

感染力の強いオミクロン株により爆発的に感染者が増えた第六波ですが、ようやく新規感染者数が減少する気配を見せたところにステルスオミクロンの市中感染が東京都内で確認された(2022年2月17日)ことから、まだまだ気が抜けない日々が続いています。

そんな中、感染拡大を防ぐ手段として重視されているのが、抗原検査とPCR検査です。

この2つの検査について、どんな検査なのかの特徴や違い、使い分け方法を解説していきます。

 



精度の高さ=『PCR検査』とは?

PCR検査は「ポリメラーゼ・チェーン・リアクション(ポリメラーゼ連鎖反応・Polymerase Chain Reaction)」の略で、ウイルスが持つ遺伝子を専用の薬液を用いて増幅させて検出する検査方法です。

新型コロナウイルスの発現で知名度が一気に上がったPCR検査ですが、以前から用いられていた信頼できる検査方法です。

微量の遺伝子を増やして検出しやすくすることから、新型コロナウイルスに感染してまだ体内のウイルス量が少ない時・発症前でも高い精度で検出できるというメリットがあります。

その一方で、高精度ではあるけれど、結果が出るまでに時間がかかる・専用の検査機器が必要となる等のデメリットがあります。

また、ウイルスの遺伝子配列を見るPCR検査ではどの変異種に感染したかも調べることが可能です。

簡易・迅速が強み『抗原検査』とは?

抗原検査とは、検体を専用の試薬に混ぜてウイルスが持つ特有のたんぱく質(抗原)を検出する検査方法です。

PCR検査と比べると、特別な検査機器を必要とせず、短時間で簡単な検査で利用できるというメリットがありますが、検出率はPCR検査と比べると劣るというデメリットがあります。

ちなみに抗原検査には、『抗原定性検査』と『抗原定量検査』の2種類があります。
『抗原定性検査』は検体の中に抗原が含まれているかどうかを調べる検査、『抗原定量検査』は検体の中に抗原がどれくらい含まれているかを調べる検査となります。

一般に販売されている『新型コロナウイルス抗原検査キット』は、前者の『抗原定性検査』ができるキットです。

特別な検査機器は不要、手軽に使える・すぐにわかるなど等のメリットがありますが、検査のタイミングが早すぎたり検体の採取方法に問題があるなどの原因で適切に検体を採取できていないと『陽性』でありながら『陰性』と判定されてしまう『偽陰性』のリスクが高くなるという問題があります。

また、抗原検査ではどの変異種に感染したかまではわからないことがほとんどです。

PCR検査と抗原検査の違いまとめ

PCR検査と抗原検査(定性検査・定量検査)の特徴を表にまとめました。

PCR検査抗原定性検査

(抗原検査キット)

抗原定量検査
検査の目的「現在」感染しているかどうかを調べる
検査するものウイルスの遺伝子ウイルスが持つたんぱく質(抗原)
検査用の専用機器必要不要必要
検査場所検査機関自宅など検査機関
検査にかかる時間数時間~15分程度30分~
精度高いPCR検査に劣る高い
変異種の判定可能できないできない
メリット・精度が高い・迅速・簡単に検査可能・定性検査より少ない量で検査が可能

・数値で具体的な判断ができ診断の精度UP

デメリット・時間がかかる

・専用の機器が必要

ウイルス量が少ないと見逃す(偽陰性)のリスクがある・時間がかかる

・専用の機器が必要

 

 

PCR検査と抗原検査は使い分けが重要

PCR検査も抗原検査(抗原定性検査・抗原定量検査)もどちらも「現在、感染しているかどうか」を調べる検査です。
一見、同じように見えますが、この2つの検査を症状・状況にあわせて使い分けることで、より効果的な感染拡大防止対策を行うことが重要です。

具体的には、発熱や咳など新型コロナウイルス感染を疑う症状が出ている場合はまず抗原検査で検査を行い、陽性であれば治療と隔離を。そこで陰性であればより正確に調べられるPCR検査を実施し、そこで陽性とでれば隔離(必要ならば治療を)をするのが理想的な使い分け方法です。

感染症状が出ている=体内でウイルスが増殖しているということ。
そのため、PCR検査と比べて多少精度が落ちる抗原検査であっても正しい結果が出やすくなると考えられるので、有症状者はスピーディに検査できる抗原検査で十分なのです。
その抗原検査で陰性だった場合は、念のため、より正確に測れるPCR検査で確認することで取りこぼしを防ぐことができます。

また、濃厚接触者で症状の出ていない人は、PCR検査を実施して感染拡大を防ぐのが効果的な方法です。

上記のように、抗原検査とPCR検査を効率的に使って、新型コロナウイルスのこれ以上の感染拡大を防ぎましょう。

 

 

 

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