小児に関する現状を解説。小児の新型コロナワクチン接種も「努力義務」に?

新型コロナウイルスの感染拡大がいまだに収まらない日本。重症化する感染者の急増・医療のひっ迫などこれまで以上に厳しい現実と直面しています。

そんな中、これまでの傾向と異なり、目に見えて増えているのが小児の感染・重症化のケースです。
第5波までは高齢者や基礎疾患を持つ人に多かった重症化・死亡する症例が、小児の感染者数の急増と合わせてこの世代でも増えてきています。
それを受けて、政府・小児科学会でも5~11歳の小児のワクチン接種に対する対応を変更しています。



 

5~11歳のワクチン接種も今後は「努力義務」に

Little asian child girl with bandage plaster on her arm after Covid-19 vaccination. Injection covid vaccine, healthcare for children

小児の感染が日に日に拡大している現状から、これまで5~11歳の小児には適用されていなかったワクチン接種の「努力義務」規定が今後小児にも適用されることになります。

「努力義務」とは?

予防接種法で「接種を受けるよう努めなければならない」という規定(予防接種法第9条)のことであり、義務・強制ではないけれどできるだけ受けるようにしてほしいという趣旨のものです。

ちなみに、対象者が16歳未満の場合は保護者に「受けさせるため必要な措置を講ずるよう努めなければならない」としています(もちろん、あくまでも最終的には本人・保護者が納得した上で接種を判断)。

エビデンス・症例が明らかでないことからこれまでは小児に関してはワクチン接種の「努力義務」は適用されていませんでした。
しかし、第七波の感染状況を受け、2022年8月20日に厚生労働省の分科会で、ワクチン接種への協力を求める「努力義務」を、対象外だった5~11歳にも適用する方針が了承されました。
子どもへワクチン接種を拡大することで、今の一番の感染拡大原因である家庭内感染を抑える目的もあると見られています。

この方針転換により、2022年9月から小児のワクチン接種がさらに推進されるようになっていくとみられています。

日本小児科学会:5~17歳のすべての小児にワクチン接種「推奨」への経緯とは

Virus.

第七波による小児患者数の急増に伴い、政府の発表を前に、日本小児科学会でも小児への新型コロナワクチン接種を「推奨する」と変更しています(2022年8月11日)。

その根拠として、

  • 小児患者数の急増により、少数であった重症例と死亡例が増加している
  • 小児特有の疾患であるグループ症例群・熱性けいれんが増加し、脳症や心筋炎などの重症例も報告されている
  • ワクチン接種で、オミクロン株を含めて重症化予防効果が40~80%程度認められることが確認された

などを挙げています。

小児、重症化事例の傾向

実際、新型コロナウイルスに感染した小児の95%以上は軽症ですが、重症化する事例が増えています。
10代以下の死亡例を見ればその傾向は明らかで、
オミクロン株流行前の2021年末においては10歳未満・10歳代の死亡例はそれぞれ0例・3例であったのに対し、オミクロン株が流行するとわずか7カ月でそれぞれ8例・6例に増えています。

この厳しい状況を受けて、日本小児科学会は「メリット(発症予防や重症化予防等)がデメリット(副反応等)を更に大きく上回る」と判断し、健康な小児へのワクチン接種を「意義がある」という表現から「推奨します」に変更したのです。

小児(5~11歳)のワクチン接種状況

現在の日本の小児のワクチン接種状況について少しみておきましょう。

現時点での5~11歳の小児のワクチン接種率は、

1回以上接種者:19.3%
2回目接種完了者:17.4%

首相官邸 年齢階級別接種実績

となっています。

5~11歳の小児にワクチン接種を行う場合は、

  1. 原則、保護者の同伴・署名が必要
  2. 未就学児の場合は、子供の接種履歴を管理している母子健康手帳
  3. ご家庭に届いた接種券や本人確認書類(マイナンバーカード・健康保険証など)も必要

ちなみに、5~11歳の小児に摂取するワクチンの量は12歳以上の量の1/3となる10㎍となり、3週間の間隔で2回接種します。

子供たちの副作用は?

気になるのが副作用ですが、12歳以上の方と同様といわれています。

  • 接種部位の痛み
  • 倦怠感
  • 頭痛
  • 発熱 など

様々な症状が確認されていますが、殆どが軽度又は中等度です。また、症状が起こっても回復しているなど、現時点で得られている情報から小児のワクチン接種の安全性に関する重大な懸念は認められていないと判断されています。

ただし、5~11歳の小児への接種による入院予防効果が8割ある一方、感染予防効果は3割程度にとどまるという海外のデータもあります。
また、ワクチンを接種したことで、それまでになかったネガティブな症状が現れる(副反応)ケースも公にはありませんが報告されているのも事実です。

主治医やお世話になっている病院にも聞いてみましょう

3d render. Cartoon character caucasian woman doctor wears glasses and uniform. Medical clip art isolated on blue violet background. Health care consultation, medical science

「努力義務」が9月から小児にも適用されるようになるとはいえ、最終的にワクチン摂種をするかどうかは、実質、保護者が決めることです。
小児への新型コロナワクチン接種も、メリット(発症予防・重症化予防等)とデメリット(副反応等)を十分理解した上で行うことが後悔のない選択をする重要な要件。
そのために、アンテナを高く立て、様々な情報を広く入手しましょう。

また、不安な部分はいつもみてもらっている病院などで不安を解消するようにしましょう。
そして、自分にとっても社会にとっても大事な宝である子供を新型コロナウイルスの脅威から守っていきましょう。

 

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